2006年08月14日
FOR ALL THE WRONG REASONS
七里ケ浜の海を毎日、朝晩撮り続け、ウェブに載せている地元のカメラマンがいる。サイト名は「スターボード気まぐれギャラリー」。景色だけでなく、ビーチで過ごすカップルや家族、サーファー達が載っていて、その日の七里ケ浜の様子が見て取れるようなビジュアルになっている、湘南ではよく知られたサイトだ。僕も載ったことがあって、記念にプリントアウトしたこともあるし、“自分も載りたい!”そんな声もよく聞く。そこで、だ。この間、僕の友達があるサーファーの女の子軍団にこんな声を掛けられたらしい。
「アタシ達も載りたいんですけど、どうしたらいいの?」
僕の友達はこう応えた。
「ビキニで海に入れば、撮ってもらえるんじゃない?」
立派なセクハラに聞こえるが、そう応えた友達も、女の子だからセクハラは成り立たない。ちなみに、ビキニで行って、撮ってくれるでしょ、とカメラマンを脅したら、逆セクハラかもしれないよね。
で、とにもかくにも、その気になった彼女達は超ビキニで七里ケ浜を訪れ、写真を撮ってもらうべく、サーフィンをしてたらしい。しかも一番乗り気だった女の子は、海でサーフボードを流してしまい、男のサーファーの頭にぶつけてしまった。傷口が深く、彼は病院へ行ったのだが、こともあろうにその女の子は写真を撮られたさに、それでもサーフィンを続けた。で、どうなったか。その日の夜、アップされた写真には、その女の子のサーフィン姿は一枚も載っていなく、サーフボード片手にビーチでにっこり笑う写真がおさまっているだけだった。それもボードはサーファーにぶつかったために欠けてしまっていた。うわさによれば、欠けたところには、まだ男の子の髪の毛が挟まっていたらしい。ああ、コワイ。血だらけの男の子をよそに海へ戻る、女の執念。それでも笑う虚栄心。
とはいえ、その話しを聞いて、僕はあることを思い出した。20年ぐらい前のことだ。サンフランシスコのオーシャンビーチというサーフポイントでのことだ。今日は波がいいいと聞いた僕らは、サーフボードを持って海に駆けつけた。すると波が大き過ぎて、誰も入っていないような状態だった。かろうじて入れるのが1キロ先ぐらいのポイントだったが、それでも人間の3〜4倍はある波だった。これじゃ帰ろう、と友達と話していたが、ふと横を見るとカメラマンがいたんだ。そのポイントに入ってる3人のサーファーを撮っていた。有名なビッグウエイバー、マーク・レネカーも入っていた。“よし、僕も海に入って写真を撮ってもらおう”よからぬ欲が沸いて来た。友達は入らないといって、車に戻った。僕はウエットを着てボードを持って、波打ち際まで歩いていったが、そこで僕はおよび腰になった。なんたって、波打ち際の波なのに、天井ぐらいの高さで波が砂浜にボッコンボッコン打ち付けてるんだから、たまったもんじゃない。これで入るのか! でもウエットに着替えちゃったし、サーフボードまで持ってきちゃったし、これで戻ったら最高に恰好悪い。車を振り返れば、“ホントに入るのかよ〜”と友達がニヤニヤしてる顔が見えた。想像してみてほしい。こんなにっちもさっちもいかない状態。すると、立ちつくす僕の横に、知り合いのベテランサーファー,グレッグ・レイモンドが現れた。“おもしろそうな波じゃん”そういって彼は波のドアを開けるように、波の向こうに飛び込んで行ってしまった。
で、僕は海に入る決心をした。いや、せざるを得なかった。巻かれながらだったから、沖に出るのに30分。僕が持ってるボードのなかでは一番長いものを持っていったんだけど、ほかのサーファー達はもっとずっと長いボードだった。“オマエ、そんなんでやるの?”視線がそう語っていた。実際に入ったら、身長の4倍はあった。でも2時間がんばって、4本乗った。
結構大きい波に乗ったし、これであのカメラマンも僕を撮ってくれたに違いない。そう確信した僕は岸に戻ってきた。“どんなのが撮れてるかなあ”いい気持ちになっている僕に、友達はこんな言葉を浴びせた。“今の撮れてなかったよ”フィルムが巻き戻っている最中にカメラマンがふたを開けてしまい、撮ったフィルムが全部パーになってしまったという。OH NO! なんだよ、せっかくあんな怖い思いをして入ったのに!!
しかし海から家へと車で戻る途中、僕はやや冷静になって自分を振り返った。写真に撮られたいがためだった。写真のために海に入るなんて、邪道だった、と。サーフィンにはそんな欲をかいちゃいけない。もっとシンプルなもんだと。
こんな話し、女の子の話しを聞くまで、まったく忘れていたけどね。僕は彼女と同類か? いや、違うに違いない。僕はもうちょっと別の意味でバカだった。
余談だけど、身長の4倍もの波にのった僕は自信がついて、それ用のサーフボードも買った。でも僕はもう二度と、そんな波に乗ることはなかった。ったく、バカだね!
I was surfing for all the wrong reasons.
投稿者 George : 17:35 | コメント (1) | トラックバック (0)
コメント
海のカメラマン、灯台専門の写真家もいるのですね!
灯台は温もりのあるポイントだったと気がつかされます。
三野富士雄さんのサイト見てみてください。
鎌倉方面の灯台は 9拍4休の点灯だと聞きました。あってるかな? 海に浮かぶ明かりはいいですね。
投稿者 bibi : 2006年12月08日 23:35
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